翻刻
待宵 名月といふもみちの実生にて
【挿絵】葉形ちいさく小倉山と云楓に似て
切込の数多小きさみしほらしく
有春の出は青くうつすりと
色あり葉厚くしまりて
常になかめあり秋のいろ
本紅薄紅黄有いろ〳〵に染る
有藤
今もなをしくれに染て小くら山
みねのもみちはみゆきをやまつ
夕霧 花の好士相州箱根山を下る頃霧はれて千
【挿絵】草をてらす木の下に実生の楓多き中に
此楓二葉にて紅葉秀てみゆるとて持来して
秘蔵せり盛長して葉形よく春の出葉
外の色とかわり萌黄色みことにはの
まわり紫色ふかく縁りを取夏の若
葉は黄色に薄く日に輝き詠めよし
秋の色なをすくれたり
通清
くるゝかと見し山もとは霧はれて
もみちにてらす遠の一むら