デジタルアーカイブ福井の資料を翻刻

コレクション: 松平文庫

温古集 三巻 - 翻刻

温古集 三巻 - ページ 33

ページ: 33

翻刻

書を返へされたりし又云へるあり曰く春嶽公人に語て云ク 予田安の館より当家の養子と成りし時年甫て十一歳 なりし或日雪江予に告て曰く若は民の父母にして民ハ 君の赤子なれハ願くハ之を虐け之を欺むくこと勿れ事 ハ志に因て成る者なれハ志の一字ハ常に忘るゝ事勿れ上は 幕府へ忠節を尽し下は一国を治め衆庶【?】をして安か らしむるこそ国君の職務なりと其言温にして其事甚だ 厳なり今に於て耳尚欹つ爾後予を補翼すること始 終一の如しヘルリが初て内海に来るや世論洵々【恂恂】たり当 時予も亦鎖港論なりしに雪江が擬答の一書能く 予提携すと謂ふへし雪江二十年前にして既に眼を全地 球上に上に開き蚤く【はやく】今日を洞見したる事正に是の如し 重く朝廷の抜擢を蒙むるも又宜【うべ】なり是予が面目となし 敢て雪江の為に誇言するなりと云云以上名誉新誌記載 する所信偽固より保せすす【衍】と雖とも今翁の小伝を畢るに 臨ミ暫く之を抜萃して其一分を補ふ