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翻刻
【右丁】
名を賜へる皆其物其人の功績を賞給ふ餘り然る名をおふせ
給ひ後世まても語り続き言継かせて其功績の跡の
絶へらさらんやうにとおも 給はんの大御意にやあらん
我 守殿の被習給ふ御意の至り深き高野先生の
年ころいそしく仕へ給ふ直實心を愛しみ思ほしましけん
御いてましのついて其文庫に御めとゝめさせ給ひ打わたし
此筆きよしと見そなはしてすなはち文庫の名を静観舎と
呼ふへくまた静観舎の八勝をえりいてさせ給ひ
御自此文字を書せた給ひて賜はせたるを永く文庫にをさめ
奉り御倉棚神と持斎き奉らんとして其教子達はた世の
【左丁】
風流士に普く告しめしこれか八勝の哥も文もあらせ
給へりけるかやう〳〵つもりにけるを一巻の物となし給へるを
先つ頃おのれに見せ給ひいかてこの後に一言そへよとの
給へるによりさるうまし文を汚しなんこともなにも思ひたとう
受しかかすまえられたるうれしさにおふけなさも恥かしさも
ふつに忘れてはしり書しつるなりけり
嘉永五年の七月