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【右頁】
古池の水を汲揚蛙の行状を学び年々
歳々怠なく一会を催し秀句を撰みて
書綴り幾万歳之末々迄続けよかしと
書初しは明らかに治る十あまり九つの年の
始の事になん
附言
是は俳諧に入用之事ならねど蛙の園を以云
蛙合戦の事は昔より聞伝へしが嘉永四
亥年即江戸在番之節麻布之末笄橋
之辺に数万之蛙群りて寄集り如何なる
【左頁】
宿意にや敵味方と見得て双方に分れ種々
得物を持て決(勝負懸)する事連日之由聞へし故
役先之人実検指越されしに全相違なき
ありさまを見届証拠のため右蛙壱疋捕へ
酒樽にいれて持帰り夫々見せしが其大きさ
首尾之径手五寸計蟇蛙なりき
蛙の合戦は殺風のおこる前兆なりと聞しが
戦争にはならすとも翌々六年丑年即もまた
折返し在番非常之尽力せし騒動より
世体不穏形勢となれる闇合にてや有けん