賀茂社関係文書翻刻プロジェクト

コレクション: 賀茂社関係文書(NDL所蔵)

斎庭之穂 - 翻刻

斎庭之穂 - ページ 16

ページ: 16

翻刻

【右丁】  千才の神と大己貴命を崇め奉れは此謂にて外の事を  いふ儀にはあらす但し宝は田力(タチカラ)と云略にして其 田(タ)。力(チカラ)は  米也然れは米は宝の最上にて則宝の中にて米は惣  体の君也金銀は其君に使はるゝ奴にて宝の使に世の中へ  ありく役也今も銭を御足しといふは米の使ひといふ義理也  扨世の中之金銀は元皆上の御品なり然るに工手間商人  交易の骨折の料に米を賜はるは勿論なれど其米も  各其年の食料に満れは金銀を米の価に割付て夫々  渡し方になりしが初にて追々金銀の弁理が世の融通  となりたる也然れとも金銀が下々の手に止るといふに 【左丁】  はあらす年々 上より米を出して其金銀を引  上け給へば工商の徒は米金に遣はれて妻子を扶助し  其日々を暮す義なれは金銀の往来する而已にて少  しも宿に止るといふ訳に者決て至らざるなり故に  工商は世話敷して貧也士農は豊かにして富るは彼  命の根なる米を押へるの徳ある故也其は福神大己  貴命之米俵を踏み給へる処にて其由現然たる也爰  を以て考ふるに往古砂金通用折は勿論近く大坂御  治世の折にても金銀を数多貯ふは士農に限りて工  商に富るは稀也其は米金等分之位なれは何れにも商