翻刻
【右丁】
人扶助手当之元に立候儀故米相場之内当は此三百万
石なる由也其は農人は年々貢を収めて残り之得米は
我か扶食の料なれは是には高下之相場はいらさる訳也
然るに町人は金銀の利益を以て凡て之食物を買ひ調
不儀なれは米不足に而相場高くとも是非をいふへき
にあらす故に大坂堂島にて相場之高下を定むるは
彼の三百万石之過不足によりての故なり固より
世に町人と。いふものなくば米を買ふものなし然れは
作不作とも相場は不立訳也於是米相場は此三百万石
が元立となる故に也諸国とも大坂の相場を見合て
【左丁】
夫々国々におゐて高下を定むるは現在其證拠なる
事著明し
一金銀を以て世界の融通をなすは往来用途の弁
理旦無禄の工商を遣ふ之用にて有禄者の金銀を宝と
して尊むへき儀にはあらさる也左れは米の訓ヨネ
にてヨネは世の根也又穂の訓命の根なれは世に命
程大切なるものなし其命の根は穂也又天下を治
給ふ世の根は則米にて米(ヨネ)は世の根也其は世の根といふ
命の根なる大切之米は王公大夫諸士の禄にて万々億々
の命を握る勢ひの宝を持給ふカミ守(カミ)なれは彼八