翻刻
【右丁】
【句点と思われる「・」を「。」にす。】
邢和璞(けいくわほく)【邪は誤】終南山に廬(いおり)す。人の心を算(かぞ)ふるの術を得たり。暴死(とんし)する者を活(いか)す。道(とう)を
学(まな)ぶ者多し。一(ある)日弟子 摧曙(さいしよ)に謂(いつ)て曰。異客(いかく)来らんと。翌(よく)日 果(はた)して一人至る。
身(み)の長(たけ)五尺 闊(ひろ)【濶は俗字】さ三尺。首(かしら)其の半(なかば)にあり緋(ひ)を衣(き)笏(こつ)を執(とつ)て鼓(く)_レ髯(ひげを)して大笑す。吻角(くちひる)
耳を侵(おか)して劇談(ものかたり)す。多く人間の語(ご)に非(あら)ず。摧曙(さいしよ)移(はしつ)て庭を過ぐ。客 熟視(つぐ〴〵み)て和璞に
謂て曰 此(これ)泰山老師(たいさんらうし)に非や。曰然り。食(しよくし)畢(おわつ)て去る。和璞曙に謂て曰。此 ̄レ は上帝(しやうてい)なり。
臣に戯(たはふ)れてなり。泰山老師といふ子(なんぢ)-復(また)-能(よ)く省(さと)るや。曙曰 向(さき)に先生の言(ことば)
を聞に某を泰山
老師の後身と
然れども前身
記(き)することを
得ずと和 上帝
璞 後(のち)に之(ゆく)
所を知らず
世に寿老人といふは此人歟
【左丁 挿絵の説明】
邪和璞(ヤワボク)【ママ】
崔曙