翻刻
【右丁】
【句点と思われる「・」を「。」にす。】
何(いつれ)の処の人といふことを知らず。宋の大中の比 京師(みやこ)に在て薬を貨(うり)
年四十余にして鬚(ひげ)眉(まゆ)なし。肌体(みうち)に㨨贅(いぼ)を生ず。馬元(ばけん)と云もの有。夏月 之(これ)に
随(したがつ)て閶闔(しやうかつ)門に出(い)ず。候(こう)池中に浴(よく)す。元 因(よつ)て臨(のぞ)み見ば。乃(すなは)ち一 ̄ツ の大蝦蟇(おほかへる)なり
元 遽(にはか)に退(しりぞ)き引く。候 浴(よく)し畢て衣を着(き)て出ければ。元 前(すゝん)で揖(いつ)す。候笑
て曰。子(なんち)適(まさ)に我を見るや。乃(いまし)元を召して酒肆(さかや)に行て飲む薬(くすり)一粒を元に
与へて曰。是を服(ふく)せば寿(ことぶき)百歳ならんと。此より後見す
後に蜀(しよく)より
来る者
市にて
薬を貨(うる)を
見る
と云
馬元
【左丁 挿絵の説明】
候(こう)先生