東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 4

絵本写宝袋 9巻 7之巻 - 翻刻

絵本写宝袋 9巻 7之巻 - ページ 22

ページ: 22

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【右丁】 【句点と思われる「・」を「。」にす。】 費文禕(ひぶんい)《割書:字子安》 道を好んで仙を得たり。偶(たま〳〵)江夏 辛(しん)氏の酒館(さかや)に行て酒をのむ。辛後 巨(おほ)き成 觴(さかづき)を与(あた) へて飲(のま)しむ。明日又来る辛 彼(かれ)が索(もとめ)を待(また)ずして是に飲しむ。如此(かくごとく)すること数載(すさい)略(ほゞ)惜(おしむ)意(こゝろ) なし。乃(いまし)辛に謂(いつ)て曰。多く酒銭(さかて)を負(おふ)今 少(すこし)く酬(むく)【酧は俗字】ふべしと。橘(みかん)の皮を取て壁(かべ)間に一の 鶴(つる)を画(ゑかい)て曰客来り飲(のむ)とき 但(たゝ)手を拍(はく)【左ルビ:うつ】して歌(うたは) しめよ鶴 必ず下り 舞(まは)んと後 客来て飲時に 鶴果して蹁躚(へんせん)と してまふ。回旋(めぐり)宛(ひる) 転(がへり)曲(ぎよく)音律(いんりつ)に 中(あた)る遠近 集(あつま)り 【左丁】 飲て是を観る十年を踰(こへ)て辛氏か 家へ 貲(たせ)【注】巨(こ)万なり一日 子安(しあん)来て所償(むくふところ) 何如(いかん)と問(とふ)辛氏 謝(しや)して曰先生の黄 鶴を画(ゑかく)に因て百倍を 獲(え)たり願くは謝(しや)せんと云 子安笑て曰何ぞ是が為(ため)に     来らんやと笛を       取て数(しは〳〵)弄ず        須臾(しはらく)にして白雪 空(そら)より下る画鶴         飛て子安が前に至る。遂(つい)に鶴 に跨(またが)り雲          に乗じて去る。辛氏其所に楼を建て           黄鶴楼(くはうくはくろう)と名く 【注 「たせ」の意味不明】