翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

火水風災雑輯. [2] - 翻刻

火水風災雑輯. [2] - ページ 18

ページ: 18

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文政十二丑の年三月廿一日 朝四ツ時頃より外神田 佐久間町弐丁目/材木(ざいもく)小屋 より出火し折しも/北風(きたかぜ)はげしく 柳原土手下へ/飛(とび)火なし 御もみぐら一ヵ所/焼落(やけおち)夫より 火の手一面につよく小伝馬町 /牢屋(らうや)大門通りへ焼出大丸/呉服店(ごふくだな) その外/大商人(おほあきんど)の/家々(いへ〳〵)土蔵又 /近辺(きんへん)を焼はらひふきや町 堺町かぶき人形/芝居(しばゐ)とも/焼失(しやうしつ)す 東は御/郡代(ぐんだい)屋敷辺馬喰町 横山町/橘(たちばな)町辺又柳橋両国 /広小路辺(ひろかうぢ)/辺(へん)焼ひろがり/矢(や)の/倉(くら) 御大名方御屋しき濱町永久 橋永代橋きはまで焼はらひ/箱崎(はこざき) 新川新堀/霊岸嶋(れいがんじま)へうつり越前様 御屋敷を初め町家/残(のこ)りなく焼 /佃(つくだ)嶋へ飛火して嶋の内こと〴〵く焼づくしぬ 又/筋違(すぢかひ)より須田町辺三河町辺鍋町鍛冶町 /立閑(りうかん)橋辺今川橋辺/銀(しろかね)町石町本町辺/駿河(するが)町 越後や両店を初め室町辺の大商人/軒(のき)をならべて焼うせ 小田原町せともの町伊勢町辺日本橋江戸ばし四日市 ■【あ】らめ【荒和布】橋小船町てりふり【照降】町小あみ町辺本ざいもく町通り 海ぞく橋かやば町辺より北八丁堀南八丁堀/鉄(てつ)ほうづ辺 つき地/門跡(もんぜき)寺中残さずその外大小名御やしき一つ橋様 ■■【尾張】様御■■■【蔵やし】き等/数(かす)かぎりなく/焼失(せうしつ)し又木ひき町辺は ■■■【紀州様】御蔵屋しきを■■■【初めそ】の余の御屋しき  河■■【原崎】かふき芝居町家残らず焼うせて 奥平様御屋しきまで焼 又日本橋を/焼落(やきおと)し 通■【り】町中橋ひろ小路京橋を焼落し銀座町三十間堀 尾張町竹川町新橋より/汐留脇坂(しほどめわきさか)様御屋しき少々焼失す 又一石橋川岸呉服町檜物町をけ町びくに橋弓町辺 すきやかし南なべ町辺土橋のきはまで焼く/終(つひ)に夜の 七ツ半頃やうやくにて火しづまりぬ。さればこの日は北風 殊にはげしくしてあるひは西を/吹(ふき)まく又は/東風(こち)を吹まはし すなを/飛(とば)しちりを/巻(まき)あげ風にしたかひいとすさまじく ほのほはしん〳〵ともえあがりてあたかも天をこがすごとく 東西南北のちまた〳〵に/老若(らうにやく)男女は/持出(もちいだ)せし /道具(どうぐ)/衣類(いるい)をうち/捨(すて)〳〵/右往左往(うわうざわう)に/散乱(さんらん)して /親(おや)は子を捨子は親にわかれ/夫婦(ふうふ)はなれ〴〵に なりて道具につまつきこけまろび 踏殺(ふみころ)され焼ころされ/泣(なき)さけぶこゑ天 地にふるひて/喚叫地獄(けうくわんぢごく)【「叫喚」カ】に/異(こと)ならず目も あてられぬありさまにてあはれといふも おろか也/諸侯(しよかう)を初め町々のさしもに/造(つく)り 立たる土蔵の/焼落(やけおち)しこと/数多(かすおほ)くて かぞへあぐるにいとまあらず/且(かつ)三/座(ざ)のかぶき 芝居皆一同に/焼亡(せうばう)せしこと/古今(こゝん)/未曾有(みぞう)と /謂(いひ)つべしかゝりしゆゑ火しづまりて後/焼残(やけのこ)りし町々の/明家(あきは)は 一/時(じ)に/借り(かり)つくし/家(いへ)をもとむる/方便(てだて)なく/野宿(のしやく)するものおびたゝしく /困窮(こんきう)たとへがたければ/恐(おそ)れ/多(おほ)くも /官府(おかみ)より御/憐愍(れんみん)を/垂(たれ)させ給ひ たゞちに所々の/原中(はらなか)へ御/救小屋(すくひこや)を/建(たて)させられ/道路(どうろ)にをる者をこゝに/住(すま)はせ それのみならず/朝夕(あさゆふ)の/食物(しよくもつ)までを/恵(めぐ)ませ給ひ/諸(しよ)人の/難義(なんぎ)を すくはせ給ふ /君恩(くんおん)の/尊(たふと)き事/仰(あほ)ぎても/猶(なほ)/仰(あほ)ぎつべく/前代(ぜんだい) /未聞(みもん)乃/㕝(こと)なりけり 【右下】 御救小屋場所   筋違橋御門外  一ヶ所   江戸橋広小路  同   幸橋御門外   同   数寄屋橋御門外 同   神田橋御門外  同   常盤橋御門外  同   松屋橋川岸   同   築地門跡前   同 【左下】 合印 ▬ 御上屋敷 ▲ 御中屋敷 ● 御下屋敷