翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

火水風災雑輯. [2] - 翻刻

火水風災雑輯. [2] - ページ 75

ページ: 75

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古今(ここん) 大地震散(おふぢしんさん) 所々(しよ〳〵)え出火(しゆつくわ)いたし候 稀成(まれなる)           其数(そのかず)三十二口 一地震の儀は先年信州越後にて大ひにふるい猶又駿州下田沼津をはぢめ東海道はもちろん 京大坂をふるひちらし今度御当地にて神々様のお留守をつけこみ安政二年十月二日の夜四ツの 鐘ともろともに近郷近在一円にゆりちらし北は千住小塚原新吉原田町花川戸山の宿から聖天町さる若町 馬道やけ観音さんは御無事なり地内はみんなひたくづれ並木諏訪丁駒形やけ田原町に三間町御蔵前にかはら丁かや丁 見付のうちは馬くろ町横山町大伝馬町両国へん爰らは少しのいたみなり本所は石原豊川通り相生丁に みどり町林町深川は高橋のきわ又は□前【八幡前?】から蛤町相川町やけ下谷は坂本金橋やけ上野広こうじ□ □かはやけ伊藤松坂やけどまり池の端は仲町かや町むゑん坂くづれ松平びんご様やけ千駄木たんご坂谷中は善光寺坂 少しにて根津丸山けいせいがくぼは大□にくづす本郷湯嶋新町家此へんはかうじのむろくづれる外神田金沢町はたこ町筋違 内神田はすだ町なべ町かゞ町へん凡百三十六町ほどくづれ十軒店より日本ばし魚がし四日市通丁筋いたむ南てんま町へんより 出火なし南かじ町具足町五郎兵衛町へんやけ京橋向ふは少しのいたみ芝口柴井町宇田川町やけ神明前より本芝金杉 田町三田赤ばね高なわ十八町大地われる品川大もりへんは大きし麻布四ツ谷赤坂かうじ町へんいたむ事おびたゝし とらの御門霞が関幸橋松平かひ苫大くづれさくら田へん八代すがし□□のおやき火消やしきやけ和田ぐら内は松平下総様 会津さまやける神田ばし内酒井様雅楽森川様やけ小川町は本□丹後様戸田様板くら様やける小石川伝通いん此へん 大きくお茶の水飯田町番町井込へん皆そんじ御□内凡五千七百余町の内出火の町数なり寺院のいたみは三万九千と 六百余□るふ土蔵は其数凡五億八万九千七百八十六ヶ所其外近郷近在まで家をたをし蔵をくずす事前代 未聞なり是をおそれざるもの一人もなし   ○当時用ひのよき方 一じひ深きものよし 一お寺方はよし 一こけら屋根かやぶきはよし 一ひら家はよし 一材木屋あら物屋はよし 一土方人足車力はよし 一第一は大工諸職人もよし 一安うりの居酒やよし 一屋たい見世は何にてもよし 一ほねつぎはよし 一干ものめざしの類一切よし 一一ぜんめしはきはめてよし 一ふるかねふるたび是らもよし 一山くじらなどはよし   ○おあいだといふものは 一土蔵はふるひてわろし 一二かい家屋屋根はあぶなし 一船宿などはわろし 一袋ものや小間物やは当分用なし 一直の高ひ魚はわろし 一ちりめんびろふどしゆすの類わろし 一三味せんやは時にあはず 一客が来てもちそふ【馳走】をせぬがよし 一のらくらものおたいこいしやなど用ひぬがよし 一唐物やぜいたくや上ぐわしや【上菓子屋】は甚わろし 一太夫三味せん□役者惣て遊芸を好むものわろし 一みやうもんの諸講中くわんけ事わろし 一かこひもの女かみゆいわろし 一高利かしはわろし 此用ひよふは慈悲(じひ)を第一とすべし其 妙(めやう)なる事は たちまち天へ通(つふ)じ御 褒美(ほうび)に預(あづか)る こと神明(しんめい) の照(てら)すがごとし        江戸十里四方   元発所(もとおこるところ)   地(ち)の下(した)淘上(ゆりあげ)