翻刻
【右丁】
一種 あかうきくさ 紫萍(しへい)《割書:集解時珍|引万畢術》 満江紅(まんこう〳〵)《割書:雑草|部》
田沢中(てんたくちう)に多(おほ)し栢葉(ひのき)に似(に)て厚(あつ)く夏月(なつ)は緑色(みとりいろ)
にして秋月(あき)に至(いたれ)は紅紫(あかむらさき)なり薬舗(くすりや)にて是物(このもの)を
浮萍(ふへい)と名(なつ)け売(うる)は誤(あやまり)なり医家(いか)自採択(みづからとりえらぶ)へし
初生(はじめ)緑色(みどりいろ)なる物(もの)煮(に)て食(くろ)ふへし
一種 てふうきくさ
形(かたち)銀杏(ぎんけう)《割書:いて|ふ》の葉(は)又 胡蝶(こてう)《割書:て|ふ》に似(に)たり是(これ)紫萍(しへい)
《割書:あかう|きくさ》の一種(いつしゆ)にして紅色(あかいろ)に染(そま)ざる物(もの)なり
一種 さんしよも
水田中(すいでんちう)にあり形(かたち)山桝(さんせう)《割書:通|名》の葉(は)に似(に)たり故(ゆえ)に名(な)づく
【左丁】
蘋(ひん) すつほんのかゞみ とちかゞみ
かへるのはす ちやん〳〵も
水鼈(すいべつ)《割書:莕菜集解時珍|引庚辛玉冊》
池沢中(ちたくちう)に生(せう)す葉(は)に一の欠刻(きれこみ)ありて
莕菜(けうさい)《割書:あさ|ざ》に似(に)たり背(うら)に水沫(すいまつ)の如(こと)き物(もの)
ありて水上(すいせう)に浮(うかぶ)根は水田中にあり秋(あ)
月(き)花(はな)を開(ひら)く三弁(みへら)白色(はくしよく)形(かたち)野茨菰(やじこ)《割書:おも|たか》
の如(こと)し実(み)は赤小豆(しやくせうづ)《割書:あつ|き》に似(に)たり時珍(じちん)
田字草(てんじさう)《割書:通|名》を充(みつ)るは誤(あやまり)なり呉普(こふ)
花白 蘇恭(そけう)大者 《振り仮名:名_レ蘋|ひんとなづく》と云(いふ)は
田字草(でんじさう)《割書:通|名》にあらず
【版心の中央部】
蘋
【二十八行末の字「普」のルビ「ふ」は「しん」を消した上から書いたように見える】