翻刻
【右丁】
斎宮女御(さいくうのにようご)
【上方】
几帳(きちやう)仕立(したて)上(かみ)白(しろ)下(しも)より紫(むらさき)はきかけ
又は惣朱(そうしゆ)錦(にしき)もやううむけん
金でい地紋(ぢもん)からくさ等(とう)をかく
一文字(いちもんじ)白(しろ)にても茶(ちや)にても
驚燕(ふうたい)【注】白 紫(むらさき)こん見 合(あわ)せ綾(あや)の紋(もん)を画(かく)三重襷(みゑだすき)
露(つゆ)総角(あげまき)白(しろ)くれなゐ
右いづれも金銀でい仕立(したて)なり
二 畳重(でうがさね)うむけんへり五色(ごしき)三色 思(おもひ)入 次第(しだい)にすべし
【中段 畳上左端】
六セウ
ヘリハ
ムラサキ
ウンケン
【下方】
二畳(にでう)
重(がさね)は
常(つね)の
畳(たゝみ)に。お
なじへり
とりたる
表(おもて)を
重(かさね)て
とづる
よこに
中 筋(すぢ)を
引(ひく)事
畳(たゝみ)と
表敷(うはしき)と
の分(わかち)也
【左丁】
伊勢物語(いせものがたり)【見出し囲み文字】
【上方 雲形内】
むかしおとこ女のもとに
ひと夜(よ)行(ゆき)て又もいかず
なりにければ女 手洗(てあら)ふ
所に貫簀(ぬきす)をうち遣(やり)
てたらひのかけに見へ
けるを
我(われ)ばかり物思ふ人は
又もあらじと
おもへば水の下(した)にも
ありけり
来(こ)ざりける男(おとこ)立(たち)きゝて
水口(みなくち)にわれや見ゆらむ
かはづさへ水のしたにて
もろごゑになく
【下方 雲形内】
貫簀(ぬきす)はたら
ひにおほふて
水のちらぬ
支度(したく)なるよし
あみてすき
まより水
くゞるといふ
今わたし
かねなども
ぬきすと
いふ
【注 「ふうさい」は誤。正しくは「きやうえん」とあるところだが、掛け物のの風帯の一名なので「ふうたい」と振り仮名をしたと思われる。】