翻刻
【右丁】
伊勢物語(いせものがたり)に 昔(むかし)おほきおほいまうちきみと聞(きこ)ゆるおはしけりつかうまつる
おとこ長(なが)月ばかりに梅(むめ)の作(つく)り枝(えだ)に雉(きじ)をつけてたてまつるとて
◦わがたのむ君(きみ)がためにと
折(おる)花(はな)はときしも
わかぬ物にぞ有ける
とよみて奉(たてまつ)りければ
いとかしこくおかしがり
給ひて使(つかひ)に禄(ろく)給へり
◦おほいまうちきみは
忠仁公(ちうじんこう)天 安(あん)元年二月
十九日 太政大臣(おほきおほいまうちきみ)に任(にん)す
事(つかう)まつる男(おとこ)は業平(なりひら)
なり時しもわかぬ
とは作枝(つくりえた)の梅(むめ)なれ
ばなり又 雉(きじ)をたち
【同丁 挿絵中の説明】
業平(なりひら)よりの使(つかひ)と有
【左丁】
入てよめり
忠仁(ちうじん)
公(こう)を祝(いわふ)
ゆへに
君(きみ)が
ために
折(お)れば
花(はな)も
常盤(ときは)に
なれる
と云也
藤原良房(フヂハラノヨシフサ)ハ
貞観(ヂヤウクハン)十四年
九月二日 ̄ニ薨(コウ)ズ《振り仮名:享-年|カウネン》
六十六-歳 《振り仮名:忠-仁-公|チウシンコウ》 ニ謚(ヲクリナ)ス
【囲みの中】
摂政太政大臣(おほきおほいまうちきみ)藤原良房公(ふぢわらのよしふさこう)
【同丁 左隅】
良房(よしふさと)云(いふ)は存生(ぞんじやう)の諱(いみな)也
忠仁公(ちうじんこう)は謚号(おくりな)なり