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【上段】
と御 尊詠(そんゑい)有りてゆるさせ給ふと也
〇人王七十三代 堀川(ほりかわ)の御宇 洪(こう)
水(すい)して山谷(さんこく)をくつがへし民屋(みんおく)
坊舎湯壷(ぼうしやゆつほ)までこと〳〵く沈没(ちんほつ)
し其後(そのゝち)九十五年が間取たつ
る人もなくたへはてけれは草木(さうもく)
ふかく茂(しげ)り空(むな)しく禽獣(きんじう)の
住家(じうか)となりしに和州三吉野(わしうみよしの)
高原(たかはら)寺の住僧仁西(ぢうさうにんせい)上人
とて大 峯高験(みねこうげん)の大 行者(ぎやうしや)
熊野権現(くまのごんげん)の御 告(つげ)によつて
彼温泉(かのおんせん)の山にたづね行
玉ひ土人(どじん)をかたらひ湯(ゆ)ふね
【下段】
藤原道信朝臣(ふぢはらのみちのぶのあそん)
明(あけ)ぬれば
くるゝ
物とは
しり
ながら
なをうら
めしき
朝(あさ)ぼらけ
かな