翻刻
《割書:狂伝和尚(きやうでんおしやう)|廓中法語(くわくちうほうご)》九替十年色地獄自序(くがいじうねんいろぢごくしじよ)
諺(ことわざ)に北洲(ほくしう)の千歳(せんねん)も。 限(かぎ)り有(あり)といへるに。などてかく。
苦界(くがい)十年の限(かぎ)りなき事よ。九年 面壁(めんへき)の。 達(だる)しうと。
いへども。 年(ねん)ン一( ̄ツ)しのわる長(なが)き事を知(し)るべからず。 突出(つきだ)し
より年明(ねんあけ)まで。 憂(うき)年月(としつき)の隙(ひま)行(ゆ)く駒下駄(こまげた)。無理(むり)な
驤(はるび)【※】もとかねばならず。いやな風(かぜ)にもなびかにやならぬ。
柳(やなぎ)の髪(かみ)にさす笄(こうがい)は。八 本( ̄ン)九 本( ̄ン)の浄土(しやうど)とも見
ゆれど。 旦(あした)にはたちまち損料(そんりやう)物の蔵にいたるときくならく。
誠(まこと)に㮈楽(ならく)【奈落】の責(せめ)なるべし。なんとマアそうじやねへかへ
寛政しん亥【?】の春 山東京伝 述
【※はるび=腹帯。字はこれではないかもしれないが、空欄ではルビをふれないため似た文字をあてた】