翻刻
こゝに安( ̄ン)本( ̄ン)山三東寺 狂伝(きやうでん)
おしやうといふのうらく【和尚といふ能楽】
ほうしはなの下のこんりうの【法師、鼻の下の建立の】
ため百日かあいだいろだんき【ため百日が間色談義】
をときけれはうわきでやいくん【を説きけれは浮気出会い群】
じゆしてちやうもんする【衆して聴聞する】
「きやうでん和尚しかつへらしく
せきばらひしていわく
これはいつれもごきどく
にこさんけいなされた
それつら〳〵おもんみれは
むかしよりゆうりを【昔より遊里を】
こくらくと見たて大門口は【極楽と見立て大門口は】
とう門とし太夫の【(極楽の人間界に開いている)東門とし太夫の】
あけや入( ̄リ)はさん
ぞんの御らい【三尊の御来】
かう大じんの【迎、大尽の】
ふところは
わうこんの【黄金の】
はだへ【はだえ=肌】
などゝ
たとゆれ
とも
それはきやくの【それは客の】
りやうけんにて【了見にて】
女郎の心には
中〳〵こくらくの【なかなか極楽の】
せつちんくらひ【雪隠くらひ】
てもなく【でも無く】
くがい十年の【苦界十年の】【九替十年とかかっている】
かしやくの【呵責の】
せめはちこくの【責めは地獄の】
しやううつして【「しょう」は「性」或は「象」か。正体、本性、姿、有様の意。うつして】
ごさるかゝる【ござる。かゝる】
くるしき
女郎の
みの
うへを
しりなから
みあかりを【身上がりを】
させ引て
あそふをつう【遊ぶを通】
しやと思ふしゆじやう【じゃと思ふ、衆生】
そうはとらのかはのふん【僧は虎の皮のふん】
どしをしめぬはかりのおに【どしを締めぬばかりの鬼】
じやとかくほんぶがつうに【じゃ。とかく凡夫が通に】
なりたかるかおいらん上人の【なりたがるが、花魁(親鸞にかける)上人の】
おしへはたゞ一心いつかうになむやぼ【教へはたゞ一心一向に南無野暮】
だふつ〳〵と申せとの事てごさる【陀仏〳〵と申せとの事でござる】
これからいろぢこくのありさまを【これから色地獄の有り様を】
ときましやうみな【説きましょう。皆】
ゆるりつとちやう【ゆるりっと聴聞】
もんさつしやれや
【台詞、右ページより】
「狂伝おしやう
はなの下の
こんりうて
こさるこめの
せにを【銭を?】
上られ
ませう
「おやぢの
おだんぎと
ちかつて
おもしろひ
自笑(じせう)か【自笑が】【八文字屋自笑】
きんたんき【禁短気】【禁談義にかかっている】
このかたの
せつほう【説法】
じや
「アヽありがたふ
ごせへす
なむやぼたふつ
〳〵〳〵