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海島にて彼湖の在る處は正に吾が父の都城な
りき余が父死して余位を繼き従弟女を迎へて
妻となし琴瑟在御( |ふうふなかよく)偕老同穴を約し最樂しく五
年を過せしに爰に不快の一事出て来たりけり
一日午飯も果て吾が妻沐浴せんと出行き余は
一睡せんと卧榻に横はり二人の侍女をして前
後に在らしめ毛扇をもて暑氛を殺(そ)き蒼蝿を拂
はしめ目を閉ぢ睡れるが如く他事を思考(かんがへ)居た
りしに侍女等は余が熟睡せると思ひてや聲を
低(ひそ)めて私語(さゝゆく)を聴けば一女先づ口を開き斯く可(いと)