翻刻
山大龍寺と号して住給ふ此禅師は生前しれす羅漢の
化身といへり則爰にて迁化あり塚は寺にあり今も
此塚咋箸を備へ寄願すれは虫喰歯を痛む者は忽ち
治する也昔忌日龍灯有しに次第に減済の穢にや
龍灯は向の最上の森の崎へ有龍神布施にまつて
せし守りとて塔司仙慶庵にありて諸病火災
を遁て奇瑞有しに其後符を破てゟ奇特落し
今什宝に成てあり其時の大蛇は則奥津姫の御
神体なりし也今も毎年祭礼に此寺住職参詣有て
法施あり元此寺の門前に五六軒民家出来しより
南村の始也又北村は昔より鋳物師にて初は内浦村
沖の崎といふにありて今も吹屋の跡あり其昔河
内国丹南郡ゟ鋳物師来りて此所にありしに其ころ
禁裏に夜々御殿の上へ黒雲一村下りて帝御悩安
からす転士そうして曰是はぬゑといふ鳥にて至
て陰鳥なれは陰国の水辺にて拵へたる灯籠に
見給ふへしと有けれは公卿詮議有て此所へ宣旨
あり百の灯籠を鋳て捧しより世々禁裏御用