翻刻
名あるよし
予柳瀬の里とやらんいふ片里に不時公務
にかられて一夜二夜明しらける宵の間に音
信るゝ鹿の音も弥敷かゝるあさまの旅寢
の徳と今一声も聞まほしく思ひしに更
行まゝにせわしく鳴伝ふに今ははや
我をしはしいを寝をさせよ鹿の声
敷波村往来也私領公領別れ有村也大蓮寺とて法花
宗あり公領庄屋に枩永道法といふ者有古き百姓の由
与左右衛門とて能き百姓有又此村藤七といふものゝかたに
不思義なる大黒の古き木像有
又往来に峨山枩とて一本の古木有今誤りて枝葉異成
ゆへ笠枩といへり是は峨山和尚梵俗の時■盗ありし
物見の松なるゆへ峨山枩といふよし
此峨山松にけし
幾穐御心の松の一本かな
又宿村とて有往来也今濱へ近し昔は今濱村抔の
宿なくありし時此村駅にて末森の城下にありし