翻刻
祭礼毎歳三月十五日十六日也此社は元は隣村麥の浦
境に宮の入とて深き入江あり此所にありしを移し
奉りし也又町家の後に奥深き洞有兵乱の時 器
財を隠したる所といへり
左桜子の躰に宿りて饗応にあい
立つ日になれは
飼ふくれて立去りかたき畴の鳫
此辺の八景を四季の発句にせよと有て
橋梶の夕照 鍬洗ふはる日立添ふ橋の面に
大龍の晩鐘 春雨や夢の世長し暮の鐘
北村の晴嵐 一嵐晴残してやせみのこゑ
南村の帰帆 涼みかてら岸に船待漁父の妻
比良の落鳫 朝な夕ななれて門田に落る鳫
瑞風の秋月 我か影の雲とさわるや海の月
川尻の夜雨 色々のうきを時雨るゝ旅寢哉
奥津の暮雪 白ゆふやおのつからなる雪の森