翻刻
しきふの大夫をそろしき声にてあらおこ
かましこよひこそ入させ給はす共あした
はとく〳〵参りけんさんに参らせ候へき由
こよいはゆるしまいらせ候とて帰りけるこ
そくはんおんの御たすけとうれしくこ
よひこそのかるゝ共あすはおし入らんと
心うくてねもいらすさしきたかくてい
つくよりもれ出つへきやうもなし四
条をもてのしとみたかくあけけれは卯
月のつきなれはくまもなくことに物哀成
あかつきに上のかたより笛のねかすかに
聞えける是きかせ給へよひやうゑの介殿
のおもしろく吹給ひし物をいかなる所にて
ならせ給ひけん浅ましの事共やとな
きたまひてかとの方を御覧して入せ給へ
はくるまのおと聞えふえのねちかく成
けりめのと申やうひやうふきやうの宮の御
ふえのねににさせ給へる物かなと心をし
つめて聞けれは笛ふきすさひて
誠にけたかき御声にて月はくまなく