翻刻
てらせともともに詠る人もなしあはぬ
物ゆへよもすからはかなき恋ちにほた
されてたいあんとうをたつぬとて月に
のりてそ行帰るとゑいし給ひけるを
聞けれは宮の御こゑにてわたらせ給
ひけりいかにとむねうちさわきひめ
きみにいかにや宮の御声にて候そ
やとさわきけり宮はおほしめししつ
み給ひてきよみつに参りたまひ七日
御こもりありて御下向成四条おもて
を過させ給ふときわも御ともにてむま
のうへに見えて有嬉しさかきりなく
てこんの少将すこしもしのふ事なくも
ちたるあふきにてまねきあれはとき
わかといひけれはたれ成らんとさしき
のきわへむまうち寄けれはときは
にておはするかこんの少将こそ是に候へ立
よらせ給へ物申さんといひけれはときわ
こんの少将にてまします嬉しさよと
申ける少将申やうはりまの三位におし