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なるのでして、此全距離は約八町あるといひますが、恐らく絶景と
して又奇勝として誇り得るものだらうと思ひます。
附近の山中には色々の植物に富み、熱帯植物のカギカツラもあれ
ば、高山植物の石楠花もあります。そして岩漿中からは色々な化石
が出るといふ風に、地質學や植物學からも實際見逃せない處だとい
はれてゐます。
川合から奥は遠州への道が自然に開けて居り、原始時代に豊川を
遡つた先史時代人は此方面へ出たものと思ひます。信州への通路
は鳳來寺から田口、津具の線によつたらしく、この見方は今日發
見される諸種の遺物から判斷されるように思はれます。
尚此方面では年中行事として今も昔ながらの
花祭り【ゴチック見出し】が所々で行はれ、土俗研究者の興味をそヽつて居りま
す。此地方出身の其方面の研究家である早川孝太郎氏は、これにつ
いて膨大な著書がある程です。
其他天然紀念物とか、史實傳説などにまだ申上げたいものもあり
ますが、省略致しまして、今回はこれで擱筆する事に致します。
次回は市の東部方面について申上げたいと存じます。 敬具