翻刻
《割書:山繭(やままゆ)|絲入(いといり)》 奇品織物圖説(きひんおりものづせつ) 《割書:北澤先生著》 《割書:壹冊|近刻》
○此書は 皇国(みくに)にていまだ製(つく)り出(いださ)ざる天蠺(てぐす)の製(せい)し方
又/布(ぬの)に織(おり)なすこと其/天蠶虫(てぐすむし)の飼(かひ)やう等/委敷(くはしく)しるす
○蝦夷布(ゑぞぬの)とて我朝(わがてう)にまゝありといへども其/製(せい)し方を
知(し)る人なし今新(いまあらた)にアツシの木の皮(かわ)にて製(つく)る事を考(かんが)へ
其木の圖(づ)をもいと細(こま)やかに示(しめ)す
○シナの木の皮(かわ)をもてつくる布(ぬの)の織方(おりかた)幷其木の/圖(づ)を
示(しめ)すこと前(まへ)の如(ごと)し
○葡萄布(ぶどうふ)の織(おり)かた幷/圖説(づせつ)等を詳(つまびらか)に著(あらわ)し大に人に
益(ゑき)あらしむるを専一(せんいち)とす
山繭養法秘傳抄(やまゝゆかいやうひでんせう)
東都 北澤始芳 識
飼立場(かいたてば)の事
○桶飼(をけがい)には日(ひ)かげよし併(しかし)あまり寒(さむ)きは悪(あし)し尤土間(もつともどま)へ
出(だ)し飼節(かうせつ)は日向(ひなた)もよし第(たい)一/風(かぜ)を嫌(きら)ふなり別而戌亥(べつしていぬい)
の風(かぜ)わろし田舎農民(いなかのうみん)の作物(さくもつ)にてかんがうべし
辰巳(たつみ)の風/吹時(ふくとき)は悪虫(あしきむし)生(しやう)ずるなり又戌亥(またいぬい)の風吹来(かぜふきく)
れば虫(むし)さる也/是(これ)にてよくかんがへ知(しる)べし但(たゞ)し何(いづ)れの
風にても嫌(きら)ふ也尤/野飼(のがい)の節(せつ)はくるしからずあしき
風/吹(ふけ)ば立木(たちき)ゆへ自由(じゆう)にかくれてかせを