翻刻
顔見世(かほみせ)の
ありさま
まことに
待(また)るゝ花(はな)の
ことし
明(あけ)の春(はる)とて
桟敷(さんしき)の雑煮(ぞうに)は
周(しう)の代(よ)の元朝(くわんてう)
積(つみ)ものゝ
井籠(せいらう)は
孝霊(かうれい)五年の
冨士(ふじ)なるへし
くだり役者(やくしや)の
盃(さかつき)は手の
うちのさんご珊瑚(さんご)
の珠(たま)を愛し
狂言(きやうげん)の評(ひよう)は
一日に千里を
はしる
今生(こんぜう)にて
歌舞伎(かぶき)を見ぬ
ものは来世(らいせ)も
野暮(やぼ)の果(くわ)は
のがるへからす