翻刻
より陰陽の両神わかれまし〳〵て陽徳の御神は
天の事をつかさとり陰徳の御神は国土をしろ
しめすといへり又云当社の神詠に【注①】
千早振わけつち山に宮居して天降る事
神代よりさきと《見せ消ち:詫|託[朱]》し給つると見え ても(たり)【注②】
同私(〽[朱] )記に賀茂御神は陰徳にて男神伊勢は
陽徳にてしかも女神に坐す天地陰陽両神
相対の御神徳霊験いちしるくおはしまし
伊勢に内外賀茂に上下の両社たゝせ給ふ
深秘不可説の口決とも難筆相承の伝を受へしと《割書:云| 々》
豊葦(〽[朱] )原 ̄ノ卜定(〃 〃 )記云古に八十万の神達を天 ̄ノ高(タカ)
市(チ)に集給ひ神議りに議り給て可遣神を
神尋に尋出し奉り武雷の神と斎主の神と
を降し給ひ千早振悪神を悉皆伏せまつろへ
て遂に報(カヘリコト)申す此後建角身命国々を見巡し
おはしますにこゝに天鈿女命磐樟船を漕奉り
尊を神代浦の浪静なる磯まて送りおはし
ます仍天神より賜ひし三ツの神 ̄ン-宝(〃 )を以て此
国の固とならせ給はんとて北 ̄ノ山の麓に応化し
百王を守り給ふ経津主武雷神も同此所に
【注① 8字消去して「神詠に」を上書き】
【注① 「て」「も」の左に傍点有り】