東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 3

新板絵入伊勢物語 : かうしやく付 2巻 上 - 翻刻

新板絵入伊勢物語 : かうしやく付 2巻 上 - ページ 10

ページ: 10

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【右丁】 おやなくたよりなく成まゝに。もろ共にいふかひなくて《振り仮名:あらんやはとて|あらんやはとて有けるか又かうちの国た》 《振り仮名:かうちの国たかやすの|かやすに男行かよふ所いてきにける也》こほりにいきかよふ所出きにけりさりけれと 此もとの女。あしと思へるけしきもなくて。出しやりければ。男こと心有 て。かゝるにやあらんと。思ひうたがひて。せんざいの中(ナカ)にかくれゐて。 かうちへいぬるかほにて見れば。此女いとよう《振り仮名:けさうじて|身をつくろふて也》。うちながめて 《割書:古今》風ふけばおきつしらなみたつた山よはにや君がひとりこゆらん とよみけるを聞て。かぎりなくかなしと思ひて《振り仮名:かうちへもいかず|(なりひらかなしく思ひてなり》成に けり。まれ〳〵かのたかやすにきて見れば。はじめこそ心にくゝも 《振り仮名:つくりけれ|(かたちをつくる也》。今はうちとけて。手づから《振り仮名:いゐがひ|(めしもるかひ》とりて。けごのうつは物に もりけるを見て。《振り仮名:心うがりて|(男見かきる也》。いかず成にけり。さりければ《振り仮名:かの女|(高安の女》。大和の方を見やりて 《割書:新古今》君があたり見つゝをゝらんいこま山くもなかくしそ雨はふるとも といひて。見いだすに。《振り仮名:からうして|(やう〳〵として也  》。《振り仮名:やまと人|(なりひら也》こんといへり。よろこびてま つに。たび〳〵すぎぬれば 【左丁】   君こんといひし夜ごとに過ぬればたのまぬものゝこひつゝぞふる といひけれど。《振り仮名:おとこすまずな|(なりひら高やすへゆかぬ也》りにけり (廿四) 昔。男。かたゐなかにすみけり。男みやづかへしにとて。わかれおし みて行にけるまゝに。みとせこざりければ。待わびたりけるに。《振り仮名:いと念|(又外の男也》 比にいひける人に。こよひあはんとちぎりたりけるに。《振り仮名:此おとこ|(なりひら也》きたり けり。此戸あけ給へとたゝきけれど。あけで哥をなんよみて。出したりける   あら玉のとしのみとせをまちわびてたゞこよひこそにゐ枕すれ と。いひ出したりければ   あづさゆみまゆみつきゆみとしをへて我せし《振り仮名:かごと|(如ク云也》《振り仮名:うるは|(忠の字也》しみせよ と。いひて。いなんとしければ女   あづさゆみひけどひかねどむかしより心は君によりにしものを といひけれど。男かへりにけり。女いとかなしくて。《振り仮名:しりに|(うしろにたて也》立てをひゆけど。 えをひつかで。しみつの有所にふしにけり。そこ成ける岩に。《振り仮名:をよひ|(小ゆび也》のちして書付ける