翻刻
ちやみせのおべん、おつくりをしまひ、うぬぼ
れ鏡(かゞみ)をかたづけて、 茶(ちや)を出(だ)しながら、 粂(くめ)が
そばへ腰(こし)をかけ、〽(おべん)このごろはおとぶ〳〵しい
ねへ、どこぞにおツこちでもできたのかへ、〽(粂)ばかア
いひねへ、ト〽(はなうた)さき ̄ やさほどにもおもやせぬのに、
こち ̄ やのぼりつめ、」おらアおめへにおツこちだヨ、
〽そりやア大(おほき)ナ門(かど)ちがへサ、〽(粂)おべんさん、緋(ひ)がのこ
にむらさきのはらをはせデ、ごうぎにあどけ
中ノ一
ねへの、 大(おほ)かたこゝが、ト股(また)ぐらに手(て)を入(い)れて、
こらアとしまダらう、〽(おべん)ヲヤいやヨ、 口(くち)のわりい、ソリヤア
そうと、モウ〳〵霜(しも)がれでいけねへ、 銀杏(いてふ)のは
が黄(き)いろになるとこゝろぼそくなるヨ、こ
のごろは、さツはりおきやくがねへから、〽(粂)そ
うヨ、こゝばかりじやアねへ、よし原(はら)も芝居(しばや)
も、さむくなツちやあアいけねへのヨ、しかし
しばやニヤア、かほみせといふものがあツて、紋(もん)