翻刻
【右丁】
人 ̄ナリ也斯 ̄ノ-編 ̄ハ乃其 ̄ノ緒-余勿 ̄レ_二以 ̄テ
_レ此 ̄ヲ視 ̄ルコト_一_レ翁 ̄ヲ
文化三年仲春既望
内班医官杉本良仲温識
【印】杉本良印#1【印】仲温#2
【左丁】
痘疹戒草自序
或人(あるひと)とふて曰(いはく)人(ひと)生(うま)れて痘瘡(はうさう)を患(うれへ)ざる者(もの)なしといへども七八十の人
此(この)厄(やく)を免(のが)れたりといふ者あるはいかに我(われ)答(こたへて)曰(いわく)古(むかし)の諺(ことば)に鶴(つる)頂(いたゞき)を発(はつ)
せざれば其(その)声(こゑ)を大(おほい)にせず蚕(かひこ)三度(さんど)眠(ねむ)らざれば其(その)糸(いと)をなさず
蟹(かに)殻(から)を脱(ぬか)ざれば其(その)腹(はら)を宏(おほ)ひにせず虎(とら)爪(つめ)を転(かへ)ざれば其(その)威(いきほひ)を
ふるはず蝉(せみ)殻(から)を蛻(ぬか)ざれば其(その)声(こゑ)を長(なか)ふせず人も又(また)痘瘡(はうさう)を発(はつ)せざ
れば身体(からだ)の蓄(たくはへし)毒(どく)外(ほか)へ出(いで)すして若(もし)他国他郷(ほかのくになぞ)へ行(ゆく)時(とき)は競々(きやう |こゝろおかれ)と
して薄氷(うすきこほり)を踏(ふむ)に似(に)たり夫故(それゆゑ)痘瘡を忌(いみ)嫌(きら)ふは君子(くんし)の質(しつ)に
あらずはた天質(うまれつき)胎毒(たひどく)浅(あさ)く時気(じき)に感(かん)ずる事(こと)もあさき人は症(やまひ)