東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 66

ページ: 66

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【右丁上段】 ▲やまひにつかれしん〴〵くたぶれたる 人は手あしなどかなはぬ事有とも ゆぶねにつかりてあびすごさず。つのを なをし牛を殺(ころす)ことし能々(よく〳〵)つゝしむべし ▲しよくじにてもくすりにてもね つしやうのものはわろしことにかんれい の物ももちゆべからずこはくかたき物わろし ▲ゆあがりの日あめかぜのはげしき ときはしかるべからずいかにもてん気 よき日出らるべきなり 【右丁下段】 【見出し】しゐがもと【源氏香の図】【見出し語上部左右の角に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 此巻は哥をもつて名とする也。 かほるの宰相(さいしやう)になり給ひての 四年めなり。かほる廿二歳 ̄の春(はる)より。次(つぎ)の年(とし)廿三歳 のなつまでのことあり。宇治(うぢ)のみやにはかほる まいり給へば。悦(よろこひ)給ひてなからんあとの事。姫君 などのことまでかず〳〵申(まうし)おき給ひければ。 かほるもかはらぬ心ざしをしらせ給はんとの給ふに。 宮の哥に〽われなくて草(くさ)の庵(いほり)はあれぬ共。 このひとことはかれじとぞ思ふ。そのゝち宮は しづかなる所にて念佛(ねんぶつ)せんとて。山寺にこもり 給ひついにそこにてむなしくなり給ふを。かほる かなしく思し給ふ。宮かくれ給ひてのち。あれ たるを御らんじて。かほるのよみ給ふ〽たち よらんかげとたのみししいがもと。むなしき とことなりにけるかな◯此心は古哥(こか)に。うば そくがをこなふ山の椎(しい)がもと。あなうは〳〵し。 とこにしあらねば。この哥につきて うば(今の)そく のみやのおはせし御ゆかをいへり。かほるの出(しゆつ) 家(け)し給はゝと。たのみ所にてありしものを。その 人もなければむなしき床(とこ)となりけるよとの心也 【左丁上段】 【見出し】つれ〳〵四 季(き)之 段(だん)【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 ◯おりふしのうつりかはる社物ことに あはれなれ。物の哀(あはれ)は秋こそまされと 人ごとにいふめれど。それもさるものにて 今ひときは心もうきたつ物は。はるの けしきにこそあめれ鳥のこゑなども ことの外に春めきてのどやかなる日 影(かげ)にかきねの草もえいづる比より。やゝ 春ふかく霞(かすみ)わたりて花もやう〳〵 けしきたつ程こそあれ折しも雨(あめ) 風うちつゞきて心あはたゝしく。ちり すぎぬ青葉(あをば)になる行までよろつに たゞ心をのみぞなやますはなたちばなは 名にこそおへれ。猶(なを)むめのにほひにぞ。古(いにし)へ の事も立かへり。こひしう思ひいでしるし。 やまぶきの。きよげに藤(ふぢ)のおぼつかなき さましたるすべて思ひすてがたき事 多(おほ)し 灌仏(くはんぶつ)の比(ころ)。祭(まつり)のころわか葉(ば)のこすへ涼(すゞ)し げにしげりゆく程こそ世のあはれも。人の 【左丁下段】  総角(あけまき) あけ  まき   に なかき  契(ちきり)   を むすび  こめ おな   じ ところに  よりも   あはなん