東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 77

ページ: 77

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【右丁上部】 【笏】 笏(しやく)は 手板(しゆはん)也     天 子(し)は玉(たま)諸侯(しよこう)は象(ざう)  牙(け)  太夫(だいぶ)は魚(うを)の須(ひれ) 文竹(またけ)  士(し)は木に籀文(こもんじ)【注】をほりて  みなもちゆくはんにんの【くわんにん(官人)の】  手にもつ物也 【注 「こもんじ(古文字)」には「漢字」の意があるが、「籀文(篆書のうち大篆のこと)」の振り仮名にしているので、ここでは「古い文字」の意と思われる】 【烏帽】 烏帽(うはう) ゑぼしは紙にて  つくり漆(うるし)にてぬる  左折(ひだりをり)は侍從(ぢしう)以上  右折は五ゐ已上  着(ちやく)す  侍從以上は糸(いと)の緒  四位以下は紙の  緒(を)にて結(むす)ぶ 【魚袋】 魚(きよたい)は官(くわん)人のこしに     帯(をぶ)るものなり  公卿(くぎやう)は金ぎよたい。四 品(ほん)  以下は銀ぎよたい也   終 【右丁歌の読み方】 哥(うた)の讀(よみ)かた ○夫(それ)哥(うた)は正風体(しやうふうてい)に讀(よむ)べし。正風体(しやうふうてい)によむ事ならぬ事 と見えたり。色(いろ)〻さま〳〵にまはして讀(よむ)はまぎらう物也 すぐにするりと讀(よむ)をよしと。玄旨法印(げんしはういん)宣(のたま)ひし○哥(うた)を讀(よま)んと思ふときは 思案(しあん)し。人 麿(まろ)赤人(あかひと)も心より出し給ひぬれば。我とてもしか也。おとり奉る べからすと。高き心をつかふべし。いさゝかも卑下(ひげ)しつればよまれぬものなり ○哥を讀(よむ)ときは心をひとつ所におかずして。十方にはしらかして山野河海(さんやがかい)をも 思ひめぐらし。やさしき風情(ふぜい)を求むべし。心をたねとするが故(ゆへ)に種(たね)/自然(じねん)と出る也 ○哥(うた)を讀(よま)んには。先(まづ)題(だい)に付てえんの字(じ)をもとむべし。縁(えん)の字(じ)とはたとへば浪(なみ) のよる〳〵目もあはずと讀(よみ)ける類(たぐひ)なり。浪(なみ)のよせるとも。夜とも。かねたる 物なり。又えんの詞(ことば)といふ事有。沖津(をきつ)波(なみ)たちこそまされなどいふやう成事也 ○哥に縁(えん)の字(じ)縁(えん)の詞(ことば)なきを首(くび)きれ哥と云ふ。哥に腰(こし)をれといふあり。こしの おれたる者(もの)ははひ〳〵も歩(ありく)べし。くひの切(きれ)たる者(もの)は命(いのち)あるまじきとて。わろ き事とす○哥(うた)のやまひといふは。初(しよ)一二一/同(どう)といふ事あり。一の句(く)の第(だい)一/字(じ)と。二の 句(く)の第(だい)一/字(じ)と同(おな)じかなをきらふ也○毎句同(まいくどう)といふは。句ごとに同じかなあるを きらふ也○同心(とうしん)といふは詞(ことば)かはりて同じ心有哥をいふ。一/首(しゅ)の内(うち)になぎさと汀(みぎは)と をよみ入るゝ類(たぐひ)也○短哥(たんか)といふは。五もじ七もじとつゞけて長く讀(よめ)ども心きれ てみじかき故(ゆへ)也○旋頭哥(せんだうか)といふは三十一 字(じ)に今一 句(く)を加(くは)へて讀(よむ)をいふ○混本(こんぼん)哥と いふは。三十一/字(じ)の内。今一/句(く)讀(よま)ざるをいふ○折句(をりく)の哥(うた)といふは。五もじ有(ある)物の名(な)を。五 句(く)の上(かみ)にすへてよむをいふ○沓冠(くつかふり)の哥(うた)といふは。十もじ有事を五/句(く)の上下(かみしも)にすへよむ をいふ○廻文哥(くはいふんか)といふは。かしらより讀(よみ)ても下(しも)より讀(よみ)ても同じやうに讀(よま)るゝをいふ 右の外(ほか)隠(かく)し題(たい)重(かさ)ね句(く)俳諧(はいかい)贈答(そうたう)あふむかへしなとゝいふ哥(うた)のてい有なり ○和歌(わか)三/神(じん)といふは▲住吉(すみよし)大明神▲玉津嶋(たまつしま)明神▲柿本(かきのもとの)人/麿(まろ)なり 【左丁上部】 教訓(けうくん)女用物(ちよようもの)板行(はんかう)目録(もくろく) ○女(おんな)節用(せつよう)文字袋(もじふくろ)《割書: |一冊》 ○同/万宝(まんぼう)罌粟嚢(けしぶくろ)《割書: |一冊》 ○女つれ〳〵色紙染(しきしぞめ)《割書: |一冊》 ○女/源氏(けんじ)教訓(けうくん)鑑(かゞみ)《割書: |一冊》 ○婦人(ふじん)教訓(けうくん)書(しよ)《割書: |一冊》 ○女郎花物語(おみなへしものがたり)《割書: |六冊》 ○藏笥百首(ざうしひやくしゆ)《割書: |六冊》 右の書(しよ)は女(をんな)躾(しつけ)がた人倫五常(しんりんごじやう) のみちをとき善(せん)をあけ惡(あく)を こらし。まどひをあきらかに せしむるおしへ女子かならず よむべきの書也。 ○文林節用筆海往来(ぶんりんせつようひつかいわうらい) ○大万宝節用字海大成(だいまんぼうせつようじかいたいせい) 是は男女(なんによ)要用(よう〳〵)の字(じ)つくし諸礼(しよれい) 法式(ほうしき)替(かは)り文章(ふんしやう)凡八百余通也 朝暮(てうぼ)たづ【別本にて】さゆるに便(たよ)り多(おゝ)し 【左丁】 近ころわらんべに教るふみおほけれとも。あつ むることすくなく。もるゝこと多し。ゆへにその 品〻をあまねくあつむ。源氏物語は。いにしへ より人の口ずさむことなれ共。其心ふかく。その 詞ふりて。その道に入かたし。さるゆへに。こゝろを とき。詞をやわらき。みん人にたよりとす。さも あらば。此物かたりのおしえなかくつたはりてちり うせぬことのはゝ。末の世のかゞみならんのみ 【奥付】 元文元年《割書:丙|辰》九月吉日出来 書林《割書:江戸日本橋南一丁目 須原屋茂兵衛|大坂心斎橋安堂寺町 秋田屋 大野木市兵衛》