東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 76

ページ: 76

翻刻

【右丁上部】 【右丁上部・冕】 冕(へん)たまのかむり 天子 の 冠(かふり) 也 【右丁上部・唐冠】 唐(から)冠(かむり・くわん)  は貫(くはん)也 髪(かみ) を貫(つらぬき)つゝむ也 冠(かんふり) 首(かしら) に有 ゆへ 元(けん)にしたがふ 法制(ほうせい) 有故 寸に したがふ 【右丁上部・幞】 幞(ぼく)は しうの武帝(ぶてい)の つくり はゞめ給ふ 唐 人 の かむり也 幅巾(ひとはゞのぬの)を 裁(さい)して四 脚(あし)をいだす 幞頭(ほくづ) 【右丁下部】 源氏物語《割書:一部|大意》【この見出し語を角丸▢で囲む】 そも〳〵此げんじ物かたりは。わか国の 至宝(しいほう)。【注①】花鳥(くはてう)の情(なさけ)をおもてとし 好色妖艶(こうしよくようえん)をもつて書あらはすとはいへども本意(ほんい)は人をして 仁義(じんぎ)五常(こしやう)の道(みち)【注②】に引いれ。終(つい)に中道(ちうだう)実相(じつそう)をさとし。 人間(にんげん)かりの色(いろ)のはかなきことをしめすに。生老病死(しやうらうびやうし)。 盛者必衰(しやうじやひつすい)。有為転変(うゐてんべん)。常住壊空(じやうぢうゑくう)の法文(ほうもん)をたて。出世(しゆつせ) の善根(ぜんこん)を成(しやう)せしめんとす。それ人のはしめは。陰陽(いんやう)男女 のなからひなれば先(まづ)男女(なんによ)のよしあしを書あらはして 人をよきにしたがひあしきをされば常(つね)の道(みち)たゞしく をのづから道にたかふべからずもろこしの書(ふみ)に見えたる 関雎(くはんしよ)の詩(し)は后妃(こうひ)の徳(とく)君子(くんし)のまじはりをしるせる其外 好色 淫風(いんふう)のみだれたるもあれどついに思(おもひ)無邪(よこしまなし)といふ人 の情(こゝろ)の正(たゞ)しきにいれりもとよりわか国のをしへはやは らかにしておもてを詞(ことは)の花にめでしめうちにはまことの ことはりをさとらしむるはかくれたるよりあらはるゝはなし といへる中庸(ちうよう)の道(みち)にかはらざるをや。いはんや天台(てんだい)の六十 巻になぞらへ巻の数(かず)六十 帖(てう)。その内の天台(てんだい)三 段(だん)かけたる 心をもちて。五十四 帖(でう)につゞめ紙数(かみかず)も三 千枚(せんまい)といへるは。一 念(ねん) 三千の義(ぎ)なるへし。かゝるたうとき物かたり心をつけてみるへし 【注① 「しほう(至宝)の慣用読み】 【注② 儒教で、人が常に行うべき五種の正しい道をいう。通例、仁・義・礼・智・信をさす。】 【左丁上部・袞】 袞(こん) 天子の御いしやうなり 【左丁上部・裾】 裾(きよ)はいしやうの跡に さがるもの也 俗に とびの 尾(お)といふ 【左丁上部・奴袴】 奴袴(ぬこ)はかりばかま【狩袴】 さし ぬき の袴(はかま) なり 大内女 中のきるは色 あかき也【女中の着る色は赤】 【左丁下部 挿絵 文字無し】