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今なにしに参やらんとあやしく見るに南殿へ向て
わたとのゝ前なる八重桜(やへさくら)のもとにいたりて立たり花
のころにもあらぬに梢(こずへ)を見あげてやゝひさしく程へて
侍(さふらひ)を木にのほせて枝をきらせておろさるその枝を
袍(うへのきぬ)の袖くゝみに取て出にけりことの様何とはしらねど
優(ゆう)に覚へければ内々其やうをひらうしてげり花を賞し
てつぎ木にせんとてとらせけるにこそと御さた有て
其しるしいひやるべしみことのり有ければ女房/伯耆(ほふき)紅(くれない)
のうすやうに書てつかはしける
なき名そとのちにとがむる八重さくら
【欄書入れ】19
【柱】古今巻十九 〇十六