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翻刻
【柱】古今巻二十 〇八
これを聞ぬ【「聞ぬ」は書陵部本「きくに」】いよ〳〵おそろしき事せんかたなし心をいたし
て観音経(くわんをんぎやう)をよみ奉てゐたりかゝる程に夜半ばかりに
至りて百千のかにあつまりて此/蛇(へひ)をさん〴〵にはさみ切
てかには見へず此事/信力(しんりき)にこたへて観音/加護(かご)し給ふ
故にかとかに【「かとかに」は書陵部本「かに」】又恩を報じける也其夜観音経をよみ奉て
他念なく念じ入たりけるに御たけ一尺計なる観音
げんぜさせ給ひて汝(なんち)恐(をそる)ゝ事なかれと仰られけるとぞ
此むすめ七才より観音経をよみ奉て十八日ごとに持齋
をなんしける十二才よりは更(さら)に法花経一/部(ぶ)を読(よみ)奉りて
げり法力まことにむなしからず現当(げんたう)ののぞみたれか