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翻刻
けり我朝に比類(ひるい)なき笛也誰人ならんと人々あやしう
思ひあへるに舟は霧にこめられて見えずうちかひの音(おと)
計聞へて既に船と行ちがふ時親王誰にかと向【書陵部本「問」】給ひ
ければ信義(のふよし)と名/乗(のり)たりけり宮(みや)感情(かんせい)にたへず双調の
君なりけりとの給はせけりそれより天下みな双調の君
と号しけるとぞ【245】殿上の其/駒(こま)は知(しり)たる人すくなし
能信大納言法成寺の修正(しゆしやう)に南門を入てまいりて
退出の時に西門へまはされける程立やすらひける間に
彼曲を唱(となへ)られたりけり大宮右府《割書:俊家》の頭の中将
にておはしけるがついがきにそひてひそかにたち聞
【柱】古今巻六 〇七