← 前のページ
ページ 406 / 1317
次のページ →
翻刻
となきていにて居たりしばらく有てつゐにねとり
出したりければかたへの楽(かく)人共さればこそいひつれよし
なき者を乗て興さめなんずと色をうしなひて
なげきあへる程に其曲目出たくたへにしてしみたり
聞人みな涙おちぬ年比是をいとはるゝ僧正人より
殊になきていはれけるは正教(せいけう)に篳篥は伽陵頻(かりようびん)の
こゑをまなぶといへること有此言を信ぜさりける口おし
き事也いまこそ思ひしりぬれ今夜の纏頭(てんどう)は他人
に及べからす用枝壱人に有べしとぞいはれける此事を
後々迄いひ出してなかれとそ
【柱】古今巻六 〇十一