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翻刻
【柱】古今巻六 〇十一
【252】後三條院は管絃をは御沙汰なかりけり去ながら中ノ
御門(みかと)大納言《割書:宗俊》の筝をきこしめして此卿か筝は
只物にあらず道におゐてうへなき物也と御顔色(こがんしよく)も
変(へん)じまし〳〵て御感有けり白河院も此人の筝を
きこしめしては御/落涙(らくるい)有てかんぜさせ給けり按察(あせち)
大納言《割書:宗季》に仰られけるは我宗俊が筝をきゝて
おほく聴罪障(てうざいしやう)に非管絃者/鳴呼(をこ)の覚へ取べき也
とぞ叡感有けるさてことに御連愍(これんみん)有けり知足院
殿は彼卿参れければいか成奏事有けれ共きこし
めされず御筝さた有て毎度興に入らせ給也