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翻刻
て力士(りきし)の忽(たちまち)に来かと覚たり弘光(ひろみつ)又/敵対(てきたい)にはぢずとみへ
ける凡(をよそ)亭主をはじめとして諸人目を驚(おとろ)かし心をさは
がしてさゞめきあへる程に伊成(これなり)すゝみよりて弘光が手を
取てまへざまへつよく引たるにうつぶしにまろびぬあへなき事
限(かきり)もなし弘光程なく立あがりて是はあやまち也今一度さか
ふべしとてあゆみよるに伊成又父の気色をうかゞひてすゝま
ぬを伊遠(これとを)只/責(せめ)よせて心み候へといひければ又弘光が手を
取てうしろさまにあしくつきたるに滞(とゞこをり)なくなげられて
此度はのけさまにつよくまろびぬと計有ておきあがり
烏帽子(ゑぼうし)の落(をち)たるををし入て帥(そつ)の前にひざま付てほろ
【上欄書入れ】30
【柱】古今巻十 〇二十六終