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翻刻
【柱】古今巻十二 〇二
人有もちたる物なければ其人数にもれてうたざりけり
大納言/定能(さたよし)卿の家の雑仕(ざつし)を妻にてよな〳〵は仁和寺(にんなじ)
へかよひけり或夜このぬし妻と合宿(かうしゆく)したりけるが大息(おほいき)
打つぎてねもいらずして夜もすがら物を思ひたるけし
き也妻あやしみて其こゝろをとひけれ共何事もなき
ぞ只身の程の今更思ひしられてねもいらぬはなとはかり
いひけれどいかにもたゞことにあらずと思てしゐて問
ければ其時男の云様/実(げに)は何事もなし今更身の程の
うきといふは此程花山院殿の殿原(とのばら)わかきも老たるも
七半を打て毎日にことしてこゝろをゆかしあそび