翻刻
【右丁】
一種
漢葱(かんさう)《割書:集|解》
かりき かれき
小葱(せうさう)《割書:群芳|譜》 夏葱(かさう)《割書:同|上》
冬葱(とうさう)の苗(なへ)細(ほそ)きもの也
形(かたち)わけきに似(に)たり夏月
刈(かり)て菜(さい)となす根(ね)よりまた
生(せう)す花実(はなみ)冬葱(とうさう)に同(おな)し
【左丁】
茖葱(かくさう) せんじやうにんにく《割書:新校|正》 天台蒜(てんたいひる)《割書:大和|本草》
ぎやうしやにんにく やまびる あいはかま《割書:佐|州》
きとびる《割書:奥州|松前》 フクシヤ《割書:蝦|夷》 アルリュムサチヒュム《割書:荷|蘭》
鹿耳葱(ろくしさう)《割書:救荒|本草》 隔葱(かくさう) 山葱(さんさう)《割書:共に|同上》
革葱(かくさう)《割書:法苑|珠林》
深山(しんさん)に自生(しせい)ありといふ武州 近郊(きんかう)にはなし人家 希(まれ)に栽(う)ゆ春月(はる)宿根(ふるね)
より二葉 或(あるい)は三葉生す玉簪(きよくさん)《割書:ぎほ|うし》に似(に)て狭(せは)く花(はな)の形 韮(きう)に似(に)て六
弁(へん)淡紫色又白花もあり実(み)は葱(さう)の如(こと)く根(ね)は白色 韮(きう)に似(に)たり
味ひ辛(から)く微(すこ)し臭気(しうき)あり城州 叡山(ゑいさん)野州(やしう)日光山 月山(くわつさん)又佐州
にも自生(しせい)あり佐州の土人 採(とり)食(くろ)ふ蝦夷(ゑそ)にて此根(このね)を服(ふく)して寒湿(かんしつ)
を防(ふせ)くといへり西洋本草(をらんたほんさう)の説(せつ)に味(あしは)ひ辛(から)く苦(にか)し古(いにしへ)は軍卒(くんそつ)に花を