翻刻
【右丁】
なくあそはせはりやうさうは
うたれぬくはすいはらきりぬ
とふ雲はしる雲かれら二人は
いけとられぬ其外以下のむくり
ともあるひはうたれはらをきりて
海へ入てしするもあり四万艘
にとり乗たるむくりおほくうた
れては【「わ」とあるは誤記と思われる】つる一万そうになる
さのみはつみに成へしとてき
しやうをかゝせたすけをき本ち
へもとさせ給ひて日本はいくさ
にかちぬとて八万そうの舟の内
よろこひあふにかきりなし大臣殿は
【左丁】
此まゝ御帰朝有ならはめてたかるへ
き事共を此間の長陣に精気
をつくさせ給ひめのとの別符を
召て給けるはいつくにか島やある
あかりて身をやすめんとの御諚
なり別符兄弟承てはしふね
おろし尋るになみまに一ツの小島
ありげんかいか島是也味方の舟をは
忍ひやかにあけ参らせ御敷皮を
のへ岩のかとを枕にせさせ申睡眠
ならせ給ふ大力のくせやらんね入てさう
なくおきさせ給はすよるひる三日そ
まとろみ給ふさる間別符兄弟は
とせん【徒然】さの余に物語をそはしめける