翻刻
【右丁】
さては別符は心かはりを仕る
たとへ別符こそ心かはりをする
ともなとや以下の軍兵ら我を
はつれてゆかぬそやあの舟こち
へとの給へとも皆舟共のをと
たかく聞付申ものもなしせめ
て思ひのあまりにや海上に
とひひたつていきをはかりに
およかせ給へとも舟はうき木の
物なれは風にまかせてはやかり
けり力及はす大臣はうかりし
島に又もとりそなたはかりを見
をくりてあきれてたゝせ給ひけり
【左丁】
早離即離かいにしへ海岸波
島にすてられしも是ににたり
と申せともせめてそれらはふたり
にてかたりなくさむかたもあり
所はわつかの小島にて草木も
さらになかりけりさうてんひろう
をふして【このあたりの意味不明】月の出へき山もなし
あしたの日は海より出又夕日も
うみに入露の力はたのみなや
夜更て聞も浪の音岩まの
宿をたのめてやうちふすかた
もぬれまさかまれにもこととふ
物とてはなみになかるゝむらかもめ