翻刻
【右丁】
みたい所の御わさかや此はんを
たはんよりなとふみはことつて
なきそ豊後にいまたまし
ますか都へ帰り給ひけるかふちは
せになるならひ【世の移り変わりの激しいことをたとえていう語】かやいかに〳〵と
とひ給へは心くるしきふせひにて
涙はかりそうかめける大臣殿は御
らんして今これほとの身と成て
御飯ふく【服】してあれはとていく程
命のなからへんてうるいなれ共
あのたかの見る所こそはつかし
けれくそもあらてと思召かさも
あれみとり丸か万里のなみち
【左丁】
をわけこしたる心さしのせつなき
にいて〳〵さらはふくせんとて御
手をかけさせ給ひけれはうれし
けにて此鷹か羽をたゝき爪
をかきおひざのまはりにひれふし
て物いはぬはかりのふせいなり大臣
殿は御らんしてあらたよりもなや
みとり丸汝は【右側に「か」と傍記】見ることく木葉た
にもなき島なれは思ひの色をも
画やうすいかゝはせんと仰けれは
此鷹うれしけにて雲居はるかに
とひあかる大臣殿は御らんしてしば
しもかくて候へかしあら名残おし