翻刻
【右丁】
まします大臣殿鷹たにも
今はかよはねは何になくさみた
まふへきそや此鷹の又も参ら
ぬはもしも別符か方へもれ聞
えころされても有やらんと時
〳〵かよふいきたにもかきりの
色と見えさせ給ふ猶もいのちの
すてかたくてみるめあをのりと
らんとて岩まのやとをたち出
汀のかたを見給へはなみうち
かゝる岩まに鳥のはを【「を」を見せ消ちにして右に「す」と傍記】こし見
ゆる大臣あやしく思召いそき
とり上見給へは此程かよひし御
【左丁】
鷹也あまりの事のかなしさに
かしこにとうとまろひゐて鷹
を御ひさのうへにかきのせありむ
さんのありさまやとくはしく
ていを見給へはしつむひとつ
ことはりなりむらさきすゝり
ゆゑんのすみそのかす〳〵の文
ともかしほにみたれて見えわか
ねともこゝろしつかに見給へは
とり〳〵にこそ見えにけれ是や
女性のはかなきはかみすみふて
たに有ならはこれほとおほき
いはほにていかほとも物をはかく