翻刻
【右丁】
舟人申けるはこれまてとゝけ
たる忠に我にしはらくみや
つかひ恩ををくれといひけれ
は大臣けにもと思召ならはぬ
わさをし給ひて恩をそをく
らせ給ひけり国内つうけ【国内通計(こくないつうげ)=広く知られること】の事なれは別符のしんかつたへ
聞いきのうらのつり人かけう
かる物をひろひきてやしなひ
をくとつたへ聞いそきつれて
参れと御つかひたつそのころ
なひかぬ木草もなしやかてく
してそ参りける別符たち出
【左丁】
つくと見てあらけうかる物や
おにかと見れは鬼にてもなし
人かとみれは人にてもなし只
かきとやらんはこれかとよ我に
しはらくあつけよ都へくして
のほり物わらひのたねとなさん
とてをしとゝめ門わきのおき
なにあつけやかてふちをそく
はへける彼門わきのおきなと申
は年比大臣殿にかしつかへし者
なれとも御かほにも御あし手
にもさなからこけのむし給ひ
御せいもちいさくいろもくろく