翻刻
【右丁】
をさし給ふ国にありあふ弓とり
みなたうの兵のにて一きも残
所はなしすてにえらひ【「ひ」を見せ消ちにして右に「む」と傍記】吉日は
弘仁七年かのえさる二月八日都
を立大臣殿の御せいは三十万
ぎにしるさるゝ其外以下の軍
兵は百万きとそ聞えける都を
立て其日八幡の御前にちんを
とり明れは津の国なにはかたこ
やのにちんをとり給ふさるほとに
王城の鎮守をはしめ奉りい
くはんをぬきかへ鎧をめしせい
れい【清麗】みさいの色の上にはやしやら
【左丁】
しん【神】のかたちけんし【源氏】雲にのり露にのり
一ツは国家を守らんため又は氏
子をまもらんため我かうぢこ〳〵
かたちにかけのそふことくさきに
立てそ守らるゝさて神たちの
きによりて神風すゝしく吹けれは
つくしにちん取むくりとも此よし
を承て今度はまつ〳〵ひけや
とて四万そうにとりのりてむ
くりの国へそ引にけるさてこそ
天下もをたやかに国もめてたく
おはしけれ大臣殿此よしそうもん【奏聞】
申されたりけれは内【内裏=天皇】よりのせんじ