翻刻
【右丁】
麢羊(かましゝ)【注】《割書:此 皮(かわ)を敷物(しきもの)に用 褥(にく)【左ルビ:しとね けぶとん】の皮(かわ)といふ》
形 羊(ひつじ)に似(に)て鬚(ひげ)なく大なる者(もの)は
牛(うし)のごとく臥時(ふすとき)は角(つの)を岩木(いわき)の
枝(えた)にかけて臥(ふ)す
角(つの)羊(ひつじ)の如(ごとく)にして黒(くろ)し
大さ四五寸
毛色(けいろ)蒼白(あをしろ)色
背(せな)黒(くろ)すぢ有
【注 「かましし」は「かもしか」の古名】
【左丁】
麝香(じやかう) 《割書:形(かたち)麞(くじか)に似(に)て小なり色(いろ)赤黒(あかくろ)し㺜犬(むくいぬ)を画(ゑかき)て麝香猫(じやかうねこ)とし霊猫(れいめう)【貓】を|画(ゑかき)て麝香(じやかう)なりとす射(しや)は各別(かくべつ)の者(もの)なり故(かるがゆへ)に図(づ)す》
此 獣(けもの)おのれが臍(へそ)を愛(あい)す猟人(かりうど)にあふ時はみづから其(その)臍(へそ)を爪(つめ)にて
かきやぶり死(し)す是 臍(へそ)をおしみてかくさんがため自(みづから)身(み)を
没(ぼつ)すとなり 香気(かうき)陰(いん)にありといふ
好(このん)で柏(かへ)【栢は俗字】を喰(くら)ふ
柏(はく)はかやにあらず
檜木(ひのき)円柏(いふき)側柏(このてかしは)
白檀(ひやくたん)等ノ総名(そうめう)【惣】なり