翻刻
【右】
く了解せざれば縦令其千百回に及ぶも到底徒労に属せん
と頃日一小冊を偏し名けて九死の一生と云ふ体問答とな
し一ら解し易きに取り童幼婦女をして輙く會得せしめん
ことを旨とす希くは世人徧く此書を讀み人々自ら豫防の道
を知り以て悪疫即ち虎列刺病の災害を免るゝことを得ば獨
り余の幸のみにあらず聊か上 朝旨を補賛し下公衆に對
するの努と謂ふ可き□若し夫れ病原の如何と治方の得喪
のごときは姑く措て論ぜず蓋し普及の要は遠く議論の高
尚に非ずして近く実践の平易に在ればなり
明治十三年七月初旬 大河本聴松 織
【左】
九死(きうし)の一生(いつしやう)
〇發端(ほつたん)
虎列刺病(これらびやう)の残酷(ざんこく)なる事(こと)
虎列刺病の救治(きうじ)し難(がた)き事(こと)
一般売薬(いつぱんばいやく)の妄信(ばうしん)すまじき事(こと)
虎列刺病を免(のが)るべき手段(てだて)の事(こと)
〇虎列刺病(これらびやう)を豫防(よばう)する法(はう)
空気(くうき)の清汚(せいお)に注意(ちゆうい)する事(こと)
飲水(のみみづ)の善悪(ぜんあく)に注意(ちゆうい)する事(こと)
食物(しよくもつ)の良否(りやうひ)に用心(ようじん)する事(こと)
交通(まじはり)の利害(りがい)に用心(ようじん)する事(こと)