翻刻
【右丁】
九こく【九州】にちかくいゑをさるへき【然るべき】やうにこ
しらへてをきたてまつりけるいその
春風すこくふききくもならはぬなみ
のをとすさき【洲崎=洲が崎となって水中に突き出ている所】にちとりとひわたる有
さまいとおもしろくてみやこの人〳〵に
此ありさまをみせまほしくそおほし
ける扨もみやこにはいもうとの姫きみ
おもひしつみておはしける宮とかくな
くさめ給ふ扨も又はりまの三位思ふ
やうにして今はひめきみうしなはん
【左丁】
事をそおもひけるむすめそつのつほ
ねをひきつれてにしのたいやゆきけり
心のうちにてをそろしけれたいの人〳〵あ
らおそろしや又何事かとむねうちさは
き給へりもつきの五つきぬにおしの折
物ひきかけていつくしさいはんかたもな
しこれにおもひつき給ひなはさためて
宮すそにたちなんといそかわし【忙はし】く心
に思ひはりまの三位申やうまことやらん
ひやうへ【「ゑ」とあるところ】のすけとのなかされ給へるも我ゝ